ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ E |
- 日時: 2022/12/14 17:07
- 名前: 陣
- 「私は実の息子を殺し、その後に同じくらいの娘婿との間に新たな娘を儲け、その上でその義理の息子まで殺した。その前にはこの子たちの父も自分の母すらも。そして遂には孫と同じくらいの子供にも手を出した。どうです。これほどまでに外道畜生な女がこの世にいると思いますか?」
自嘲と呼ぶには余りにも重い述懐。毒舌のライシュも二の句が無い。
そこまで聞くと、すっと手を上げて周囲に外せと無言で指示するジュスチーヌ。それを受けて、部屋から静かに出ていく四人。
「ありがとうございます」
「別にあなたの事を気遣ったわけでは。むしろあの四人が聞くに耐えられないと思ったまでです」
「あなたは耐えられると?」
「耐えねばなりません。これからあなた方と関わっていくためにも」
改めて向き合うルドヴィカとジュスチーヌ。
「強い方ですね。もしあなたのような妹がいたら私の人生も違っていたかも」
「強いなどとても。ただ強くあろうと思ってきたのは確かですわ。おかげで夫や息子の後を追い損ないましたが」
部屋の上を見上げるジュスチーヌ。そこにはエルヴィーラと同様の家族の肖像が飾られている。
「羨ましいですわね。自分にはとても家族の肖像を飾る事など出来ません。当主の一人として外せぬ母を飾るのが精一杯。あの方は確かに聖女のような方でした。私の最初の夫も、あの方をより愛し、果ては心中しました。私の妹も道連れに。その私が次には娘の夫と通じ、同じく娘を宿しました。しかし心中は出来ず、今でも生き恥を晒しています」
「私も夫や息子の見ている下で、あの子に抱かれました。なぜそんな事をしたかは分かりません。とにかく私にあなたを非難する資格はありませんわ」
「あなたとの一番の共通は、やはりあの子という事になるのかしら」
「いい年しての棒姉妹ですか」
「みっともないですわよねえ」
二人同時の忍び笑い。
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