ハーレムバスタード 第六章 庶子の時代へ C |
- 日時: 2022/12/13 22:08
- 名前: 陣
- 「どうも。事前の連絡も無しに失礼いたしました」
二人の娘を両脇に従え、丁寧に挨拶を行うルドヴィカ。
「いえいえ。天下に名高いバイバルスの方々をお迎え出来て、実に光栄でございますわ」
こちらもリージャとライシュを両脇に、挨拶を返すジュスチーヌ。
(こいつが噂の「ゴットリープの女帝」かよ)
今まで故郷のエルヴィーラを離れた事の無かった、ライシュとしては余計に感慨が大きい。
(娘の夫との不義の子を孕んだまま、甲冑姿で築城指揮を行った女。確かに迫力あるな)
もう孫までいる五十近くの年のはずなのに、むしろそれ故だからこその凄味と威厳を感じさせる。日頃は毒舌辛口のはずのライシュですら、それを認めざるをえない。が。
(それがあのガキに掛かってはヒイヒイ言ってたんだっけ。見てみたいな。それ)
いささかの苦笑も浮かばずにはいられない。
「で。当家に御用の向きは?」
脇の者の心中を知ってか知らずか、あくまで事務的に問い掛けるジュスチーヌ。
「御承知でしょう。先日貴家と婚姻されたばかりのマックリィ殿を、我がバイバルス家並びにテルモピライ家の婿としても御迎えしたい。その挨拶です」
脇で笑い出すライシュ。
「挨拶って何だよ。既成事実の押し付けじゃねえか。よくもそんな図々しい真似を…」
それを打ち消すように、脇から口を挟むリージャ。
「レナス家はどうなのです? そちらの方は?」
こちらも話を挟むルシタニア。
「バージゼル殿との話は付いてます。こちらとそちらの間で了解が取れれば異存は無いと」
「三姉妹の方々は?」
「マックリィ殿はあの方々の子ではありません。よってバージゼル殿の決定に従うとか」
そこで鼻を鳴らすライシュ。
「フン。ここでようやくの亭主関白かよ」
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