ハーレムバスタード 第四章 婚儀という名の政治 K |
- 日時: 2022/12/07 16:24
- 名前: 陣
- 「それでは。新郎新婦のキャンドルサービスになります」
仙樹教司祭の祝詞も終わり、いよいよ新郎新婦が各テーブルに回ってのキャンドルサービス。
頭では一つ以上、年では十近く花嫁より下のマックリィ。何か今一つ実感がないといった感じで、経験者であるジュリエットのリードでたどたどしく点けて回る。
その介添えには、それぞれビオラとライシュが付いている。
「そういえば。前のカンタータでのウェルキンの時にも、あいつ来ていたな」
感慨深げにその光景を眺めるクリエート。
「そうでしたね」
「あの時はファシリア殿に連れられてだった」
「…」
ほとんどのテーブルがマックリィの毒気に当てられて落ち着かない様子だが、ジュリエットとライシュの睨みに押さえ付けられている感じ。
「ご参列ありがとうこざいます」
サラミス組の後、ようやく巡って来る順番。
その新婦の挨拶に、スッと席から立ち上がるクリエート。
ちょっと警戒気味に身構えるライシュ。あくまで無表情のビオラ。
「いろいろとあるでしょうが。大事な弟です。どうかよろしくお願い致します」
深々と頭を上げるクリエート。一瞬、当惑気な顔をするも、それに応じて頭を下げるジュリエット。
周りから起こる拍手。
(凄い)
(流石は大将軍だ。器が大きい)
「あいつ」
その光景を見て、拍手せず、苦虫を噛み潰すネメシス。
「どうされました」
顔色を伺うカディア。
「らしくもない。偽善めいた真似をしおって」
最後に回って来る順番。
あくまで無言で睥睨した感じに、それを迎えるネメシス。胸には大きく輝くブローチ。
席に近づくや、先に進み出るビオラ。
皿を動かすかと思いきや、そのままの動きでネメシスの胸元にスッと指を動かし、そのままジュリエットの胸元にクルリと回す。
一瞬、何が起こったかと目を見張る一同。
その視線の先。そこにはいつのまにかジュリエットの胸に移されているブローチが。
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