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ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 M
日時: 2022/11/24 19:26
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「御母様が言ってたわ」

「何を?」

訝しげな表情を浮かべる妹。

「アルスタルコスの件で唯一の救いは、あなたをテルモピライ家に送らずに済んだ事だって。ルメリアじゃいろいろと問題があったし」

「それは。あたしがテルモピライ家の側に立って、バイバルス家に歯向かうって事?」

「どうだったの?」

「そうね。アルキピアデス次第かしら。もし彼が腰を低くして協力してくれと来たら…考えたかもね」

いかにも思わせぶりな顔のルシアラ。

「それは無理ね。彼はバイバルス家の婿じゃなく主人、いえゴットリープやラルフィントの『皇帝』になりたかったくらいの人よ。自分が主人の立場で妻に頭を下げる人じゃないわ」

「そう。クリス義父様と同じにね」

「でも。義父様よりは頭が良かったわ。ギリギリまで、私と御母様を引き込み続けたもの。正直、最後まで信じたかったわ。私としては」

「でも。最後が勇み足だったわね。もう少し我慢できてれば御母様も身動き出来なくなってたのに」

「男だから。かもね。あるいは政治的にもそこしかなかったと思ったのか」

「で。御姉様はともかく。どうして御母様まで。わざわざ妊娠までして」

「そこまでしないとアルキピアデスを油断させられないと思ったのか。あるいはそれとも本気で彼の子が、いえ新しい子その物が欲しかったのか。ルパートやルメリアに代わるような」

「分からないかもね。御母様自身としても。あるいは本気で彼を愛していたのか」

「…」

しばしの沈黙。

「で。どうなの? 今度の坊やは? 味見までしたんでしょ? 御母様と一緒に?」

「…分からないわね。まだ」

「分からない?」

「何か底が知れないってとこかしら。器が大きいのか空虚なのか。それはウチのルキオラも同じだけど。マックリィの場合は得体も知れないというか。あの側付と一緒にね」

「…ビオラって子ね。あるいは『ヴラッドヴェインの子女』なんじゃないかって噂の」

「少なくとも。アルキピアデスのような『半端物』でないのだけは確かね」

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Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 M ( No.1 )
日時: 2022/11/24 05:29
名前: 鬼末忠次
参照: http://onisue-chuuji.blog.jp/

おお! これは凄いことになってきましたね。女傑の一族に入りこんだレナス家の聖なる汚物! これはレナス家にとって、吉と出るか凶と出るか、いよいよわからなくなってきましたね。どちらにせよ、各勢力の中心人物になりそうです。さすが主人公。パージゼルの存念も知りたいところです。
Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 M ( No.2 )
日時: 2022/11/24 19:24
名前:

マックリィの政治的な最大特徴は、バージゼルの子であっても、三姉妹の子ではないという点でしょうね。
しかも実母系の兄姉たちとも切れた形になっている。

敢えて言えば、ユーロには最初から加わらなかった、EU加盟時のイギリスみたいな物で。

そしてそれをどう政治的に評価活用するかもまた周囲の能力とドラマで。

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