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ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 K
日時: 2023/04/01 06:19
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「で。罰はあの子だけに?」

中身を飲み干してカチャリと音を立てるルシアラ。

「そうね。管理者責任として、出来ればあなたにも加わってほしい。それが御母様からの伝言」

あくまで事務口調のルシタニア。それに対し。

「出来れば? 伝言? はっきり『有無を言わさぬ』『命令』って言ってくださりません?」

皮肉交じりに返すルシアラ。それに苦笑のルシタニア。

「はっきり言えばそうね。とにかく御母様としては、この局面でバイバルス一門が一枚岩である事を示したいってわけ。それこそ完全無欠のね」

「それでこそ。分裂含みのレナス家に対しても優位に立てる条件なわけか」

「そう。アルキピアデスの時とは逆ね。あの時はあなたが別行動なのが功を奏したけど。今は違うわ」

「アルキピアデスね。で。今度は孫婿に食指ってとこなのかしら。御母様?」

「さあ。とにかく今もエネルギーの塊みたいな御方だから。出来れば余分はそっちで解消して欲しいわね」

「そして。御父様はそれに耐えられなかった」

「そう。御母様もまだまだ若かったしね…」

しばしの沈黙の末。

「ま。とにかく安心したわ。テルモピライ家としては、今度の刃傷沙汰でルキエラが廃嫡されるんじゃないかって戦々恐々だったんだから」

「あら。ルキエラを廃嫡したら代わりはどうするの? まさかアルバートを復権させる? それはダメね。少なくともあのアルシノエが健在な限りは。それにいくらアルキピアデスの元婚約者とはいえ、あなたをテルモピライ家の当主その物には出来ないわ。ドゴール家なんかとはわけが違うもの」

「いくら時代が変わったとはいえ、それがテルモピライ家としての最後のプライドよね。このゴットリープ建設の時にはただの雑役夫の一人だった、バイバルス家ごときにに完全に乗っ取られるわけにはいかない。たとえ僅かでもこの家の血を引く人間でなければって」

「たかがプライドというけど。それがあるからこそ価値があるともいうわね」

「ふふ」

「あら。どうしたの?」

「御姉様。なんのかんの言っても御母様に似てきたわね。ずいぶんと」

「あら。そう?」

「そ。遠からず『女帝』の方もお譲られになるんじゃなくて?」

「ふふ。あるいは『女帝』は、私を飛ばしてルキオラに行くかもしれないわよ。あの子には御母様も手を焼いてるんだから」

「あら。あの子は『女帝』って感じじゃないわ。もっと別の物よ」

「別の?」

「そう。たとえて言えば天使というか女神というか。いえそんな綺麗な物じゃないわね。そう。『天魔物』ってとこかしら」

「…」

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Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 K ( No.1 )
日時: 2022/11/22 00:34
名前: 鬼末忠次
参照: http://onisue-chuuji.blog.jp/

『天魔物』って聞いたことないですが、いよいよ正ヒロイン?の本領が垣間見えるようになってきましたね。マックリィとの対決が楽しみです。
Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 K ( No.2 )
日時: 2022/11/26 21:38
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「聖なる汚物」のマックリィに対する「天の魔物」って感じでしょうか。文人のルシアラならではの表現って感じで。

マックリィが例の事件で変貌したように、ルキオラもまたマックリィに抱かれて脱皮した感じか。
ルドヴィカもですが、バランス的にあのマックリィ(とビオラのコンビ)に対するにはこれくらいでないとって感じでしょうか。

間のルシタニアも加えて、レナス三姉妹に対するバイバルス三世代もいよいよ整って来た感じです。

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