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ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 J
日時: 2022/11/21 19:35
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「なるほど。それがあの子に対する御母様からの罰というわけですか」

カップを華麗に戻す女性。このテルモピライ家の当主代行ルシアラ。

「まあ。そういう事にもなるわね」

こちらは改めて優雅に寄せる女性。バイバルス家現当主ルシタニア。

共に「ゴットリープの女帝」ルドヴィカが最初の夫クレメンスとの間に儲けた娘たちであり、いわゆる同父母姉妹。但し性格的には対照で、姉のルシタニアは祖母似、ルシアラは母似とも呼ばれる。

バイバルス家の歴史に相応しく、彼女たちの関係もまた普通ではない。
十数年前に叛乱を起こしたアルキピアデスは本来、ルシアラの婚約者。もしアルキピアデスがテルモピライ家を相続していたら、ルシアラが嫁入りしていたはずであった。もしこれが実現していたらあるいは歴史は大きく変わっていたかもしれない。
だが先にルシタニアの婿に入っていた庶兄のアルスタルコスが子なくして急逝したため、アルキピアデスがその後釜に。そしてテルモピライ家は同母姉のアルシノエが継ぎ、その婿としてルドヴィカが二度目の夫クリスチアンとの間に儲けた息子ルパートが入る。すなわちバイバルス家の事情がテルモピライ家の後継も決めたわけであり、その時点での両家の力関係も分かるだろう。
ちなみに姉妹の父クレメンスの後に入った、クリスチアンも前任の弟であり、ルパートとルメリアの兄妹をルドヴィカとの間に儲けるも、その仲は最悪。当て付けのように互いに愛人を作り合った末に急死。一説には、姪でもある義娘たちにも手を出そうとしてルドヴィカに殺されたという物もある。
その噂の影響もあってか、ルパートとルメリアはとかく母に反抗的で、遂には示し合わせての叛乱まで起こし失敗。遂にはそれぞれの婚家の責任で処分され、辛うじてルパートがアルシノエとの間に儲けた息子アルバートのみが残る事となる。
だがそのアルバートもまた母と叔父の蜂起の失敗によって、母共々廃嫡の身。皮肉にも叔父の子で従妹にもなるルキエラにその座を取って代わられる事となる。
そしてそのルキエラの代行として入る事になったのが、彼女の父の元婚約者であり、その蜂起を潰した最大の要因でもある異父姉のルシアラ。
奇しくも長き回り道を経て、やっとテルモピライ家に入り、元婚約者が自分の母に産ませた、その娘の義母役を引き受ける事にもなったわけである。

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Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 11 ( No.1 )
日時: 2022/11/20 13:43
名前: 鬼末忠次
参照: http://onisue-chuuji.blog.jp/

これは壮絶の一言ですねー。ちょっと解らないところもありますが、とにかく両家の相克が伝わってきました。テルモピライ家は人物に恵まれなかった感じですね。
Re: ハーレムバスタード  第五章 ゴットリープの女帝 11 ( No.2 )
日時: 2022/11/23 15:53
名前:

家譜を追加しますので、もうしばらくお待ち下さい。

基本的なモデルは、フィレンツェにおけるメディチ家とパッツィ家の覇権抗争。

あとアルキピアデスについては、過去におけるマックリィ的な存在という位置付けですね。

実はルシアラの婚約者でもあったというのが、まさに画竜点睛でした。

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