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ハーレムバスタード  第四章 婚儀という名の政治 A
日時: 2022/11/01 23:11
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(おい。サラミス家の御一行様だぞ)

婚儀の席に集まるのは、周辺三家の関係者だけでない。更に周辺の小豪族も含め、様々な関係者も集まってくる。

彼らの目的は当然に華燭の典での様々な動きであり、様々な政治権力そして外交の絵巻物語である。

(まずはサラミス家のお出ましか)

(あそこの当主。先日までバーミアまで出向いていたんだって?)

(ああ。あそこの相手がバーミアにいるからな。様子見と連絡も兼ねての事らしい)

(レナス家は何も言わないのか)

(あそこの嫡次男の安否を確認できる唯一の窓口だからな。文句を付けるわけにもいくまい)

(それだけかな)

(どういうことだ)

(一応は手切れ状態とはいえ、レナス家は雲山朝と戦闘状態にまで入ったわけじゃない。以前と同じく、サラミス家を雲山朝へのパイプとして残しておきたい思惑もあるんじゃないのか)

(また雲山朝と組むってのか。山麓朝の再建はどうなる)

(レナス家と手を切っても、バーミアの女王を未だに「女帝」と呼ぶ声は大きいからな。レナス家として出来れば自分たちの有利に組み直す事が出来れば一番良いに越した事はあるまい)

(となれば今ドゴールにいる新女王とやらは駆け引き材料か)

(レナス家としては、ゴットリープに戻してしまえば山麓朝が復権してしまうし、かといって今のままでは「女帝」に対抗出来ないと難しいところだろうな)

やがてその隣の人物を見とがめる一人。

(おい。あのお付きの若いのは誰だい)

(なんだ。知らないのか。サラミス家の譜代騎士家の嫡男セルシウス殿だよ。当主殿とは従姉弟の関係で、護衛を務めるのも多い)

(そうか。てっきり例の嫡次男が戻ってきたのかと思った)

(まあ確かに年も格好も同じくらいだしな)

(なんか妙にイライラしてるな)

(そりゃ面白くないことばかりだろうからな。そもそも従姉殿の縁組が気に食わないんだろうし)

(そりゃどうして)

(分かるだろ。惚れてたからだよ。ただし余りに近過ぎだったから当主殿には弟代わりにしか見てもらえなかった。それに)

(それに?)

(魔法学園に誘われたのに、剣に夢中で断ってしまったんだ。それで離れてる隙に、例の嫡次男に奪われてしまった)

(なるほど。そりゃ悔しさも千倍だろうなあ)

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