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ハーレムバスタード  第三章 不穏な平穏 @
日時: 2022/10/17 23:13
名前:

「ああ!? マックリィさまがー!!」


悪名高き聖汚物の二人がエルヴィーラに落ち着いてからほぼ一月。
いろいろと落ち着いた事もあってか、領内の挨拶巡りに出向く事になる。

同伴は婚約者のジュリエットをはじめ、当番のメイド三人組。そして警護の数人の騎士たち。
六人乗りの馬車の中は、相向かいのマックリィとメイドたちの賑やかな会話で持ち切り。
マックリィの両脇のジュリエットとビオラはそれぞれに苦虫と無表情。

それぞれの家臣の邸宅では歓待の山。聖汚物な二人にジュリエットも加えての三人の美しさには、誰もが目を奪われるといった感じ。
流石にジュリエットまでいては、どの家の令嬢や貴婦人たちもマックリィに声を掛けるのは憚られる模様。
その代わりの返礼とばかりに、ビオラが奏でる音楽の数々には誰もがウットリ陶酔。

「ああ。まるで天国にいるみたい…」

またもう一つの注目は道中の途中での休憩時間。
周りから集まってくる人々に対し、愛想を振り撒き、外のだけでなく、地元の曲や歌も奏でる事で、土地の人間たちの好感も集めてのける。

中でも傑作なのが、集まってきた子供たちを相手に、マックリィが全く同じレベルで話したり遊んだりして見せる点。
その時の彼はまるで汚れを全く知らないような純真無垢の表情。子供たちだけでなく、メイドたちも改めて惚れ直す風情。

その光景にも相変わらず、ジュリエットとビオラはそれぞれに仏頂面と無表情。


そんな繰り返された日常のある日。変事が起きる。

いつものような道中の休憩中。突如現れた馬に乗った騎士に、いきなりマックリィが抱えられ、連れ去られてしまったのだ!

この日の当番の一人だったエミリーの悲鳴が響く中、傍らを振り向くジュリエット。

「ちょっと! ビオラ! あんた何や…って、え?」

「あれ。ビオラ様も…」

「いつのまに…」

「いない…」

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