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ハーレムバスタード  第二章 招かざる婿殿 F
日時: 2022/10/14 22:08
名前:

「ジュスチーヌ様…」

初めて声を発するビオラ。それに対して。

「嫌だ。怖い顔しないでちょうだい。ビオラ」

舐めるような視線で、やがてマックリィに手を伸ばすジュスチーヌ。

「あたしは別に、それがおかしいとか悪いとか言ってるんじゃないんだから…」

伸ばされた手がやがてマックリィの顔に触れ、柔らかく撫で回す。

「だってそうなら…もしかしてそれは…あの子の…ジュリウスの物かもしれないじゃない…」

自分の顔を撫で回す掌。それに向かって目をグルグルさせるマックリィ。

「そう…お菓子とエミリーが大好きだった…あの子の…」

そのまま感極まって、思わず思い切り抱き締めてしまうジュスチーヌ!

「おかしい!? 気が変!? ええ! そうよ! 分かってるわ! いっそそうなってしまえば、どんなに気が楽か!!」

そのままマックリィの顔を自分の胸に思い切り押し付ける!

それに対し当惑気になるも、やがて穏やかな表情に変わるマックリィ。

「だから! だからお願い! わたしに! わたしにもう一度! あの子を産まさせて! ビオラ!」

一瞬、表情を変えた感じのビオラ。ただしあくまで無言で。

「…」

「本当の! 本当のドゴールの血はもうわたしにしかない! だから! だからわたしがまだ作れる間に! お願い!」

「…」

「アンドレイはしてくれなかった! だから! だからこの子で! この子であの子を産まさせて!!」

「…」

「それとも! それともそれがレナス家の! あのバージゼルの意思だとでもいうの!?」

「…」

しばしの対峙となるビオラとマックリィを抱えたジュスチーヌ。

やがて視線を上に向けるビオラ。そこには家族三人の肖像画が掛かっている。

「…」

そしてやがて。頭は下に向かって垂れた。

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