トップページ > 過去ログ > 記事閲覧
ハーレムバスタード  第一章 レナスの聖汚物 H
日時: 2022/10/08 12:08
名前:

「最初に言っておく! これ以後マックリィについての全てはビオラが見る! 他の者は一切絶対に口を出してはならん! 以上だ!」

明言は無いが、たとえ三姉妹の方々であっても許さぬとばかりの、まさに釘を刺すというに相応しい、バージゼルの厳命。
それまでの彼からは想像も付かない、まさに峻厳なまでの宣言。
正直、今まで母たちに遠慮がちだった、父をいささかみくびっていた感じの子供たちの多くもこの変貌ぶりに言葉も無い。

それと共に始まる、ビオラとマックリィの生活。

衣食や入浴の世話をはじめ、ビオラがそれぞれに弾き奏でる音楽の数々。
どこで覚えたのかとばかりに様々に披露される、吹奏、弦楽、そして歌唱の数々。
最初は無反応だったマックリィも次第に表情から血色を蘇らせ、自ら食事も取れるようになっていく。

しかし彼女は決して優しいだけではない。マックリィの甘えが過渡と見るや、厳しい折檻も断じて辞さない。
流石に足蹴までは無いが、場合によっては馬乗りになっての猛ビンタの嵐。その悲鳴と絶叫は、時にゴットリープの屋敷内にも大きく響き渡る。

その噂を聞き及び、彼に対して負い目を感じる上、弟妹に対しいくらなんでもここまでやった事はないとの自負がある、ネメシスが堪り兼ねて、クリエートらと共にバージゼルに直訴する。

「あれでは死んでしまいます! 弟が! マックリィが! お父様!!」

「止むをえまい。そうするしかないとビオラが判断するのなら」

今まで家族の誰にも見せた事の無かった、まさに有無を言わさぬ容赦の無さ。

「死んでも良いというんですか!?」

「忘れたか。あれは既に一度、いや二度も死んでいるのだ」

「なんですって!?」

「まだ分からんか。私がビオラにさせている事は治療などではない。ただ息をしているだけの抜け殻に、新たな魂を吹き込ませる事なのだ」

「そんな!」

「だから今から承知しておけ。あれは既にお前たちが知るマックリィでも弟でもない」

父も普通ではない。明らかに常軌を逸している。少なくともマックリィに関しては。
ならばこっちで止めさせるとばかり、ビオラに対し直接詰め寄ろうとするが、彼女の前に出ると何故か口に出せない。
明らかに自分たちより年下のはずの、彼女の立ち振る舞いに対し、何故か言葉が出てこない。

「どうしました。姉上?」

一言もなく立ち去った後、ようやく姉に質問する弟。

「気が付かなかった? あの呼吸。あの姿勢。あの歩き方。只者じゃない。あんなの今まで見たことが無いわね。只の楽士なんかじゃ絶対に無いわよ」

「それにしても。魂を吹き込むなんて。あの高名なる御仁ですら、そんな事をやった噂は…」

「お父様は。一体どこからあのような者を…」

Page: 1 |

Re: ハーレムバスタード  第一章 レナスの聖汚物 H ( No.1 )
日時: 2022/10/08 04:35
名前: 鬼末忠次
参照: http://onisue-chuuji.blog.jp/

『嵐が丘』、読んでないんです。これも宿題にします。
ピオラ、とてつもなく魅力的なキャラクターですね。
正体が明かされる日が楽しみです。
Re: ハーレムバスタード  第一章 レナスの聖汚物 H ( No.2 )
日時: 2022/10/08 07:11
名前:

ビオラの一番のポイントは、ありそうで無かった楽士系のキャラを考えてみた点ですね。
ハーメルンの笛吹き男のイメージもあります。

あと初期設定のバージゼルがオグミオス(バーミオン老人)にレナス家に連れて来られたらしいという部分も意識しました。

あと『アサシン』でネメシスが歩き方で相手の背景を見抜けるというのもヒントにしています。

Page: 1 |