ハーレムバスタード 第一章 レナスの聖汚物 @ |
- 日時: 2022/10/07 06:29
- 名前: 陣
- 「御当主様がお呼びです」
その声に眼を醒す少年。
「ビオ?」
いささか気怠る気に発せられる声。変声期っぽい年令不詳、性別不詳な調子で、どことなく艶かしく退廃的にも聞こえる。 大きく欠伸しながら、自分に覆い被さっている何人もの女たちの寝身体をどかし、身を起こす少年。年は十代の後半くらいか。その身は一糸も纏わず、カーテンの隙間から入る朝の木洩れ日に艶かしく映し出されている。
「お父様が?」
「はい。先ほど使いの方が」
周りの醜態など、まるでお構い無しに返す来訪者。 いかにも心地良さげに、無防備に熟睡し続けている周りの女たち。五十近くと思しき熟女から十才前後と見られる幼女まで。あるいは祖母から孫までの一族なのかもしれない。 そんなの今時では別に珍しくも無いし問題でもないとばかりに、全く意にも介さず、浴室で身体を洗わせて身繕いさせ、少年を外に連れ出す来訪者。
その外には未だ戦火から立ち直れない、荒涼たる景色が広がる。
ここはラルフィント王国山麓朝の首都ゴットリープ。
時は仙樹歴1048年。後世ミラージュ戦役とも呼ばれる、二年以上もの大乱が終わってから、まだ二年も経っていなかった。
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