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ハーレムトライアングル  第六章 時代を決めた男 E
日時: 2022/09/23 21:57
名前:

「…」

一瞬驚くも、即座にジッとした凝視に変わるオトレーレー。まるで稀代の一品でも見極める鑑定家のように。

「なんだ。私の顔に何か付いてもいるのか?」

「いえ。あのルネが、このような凄い方をお迎えしていたとは思えなかったので…」

少し顔を険しくするガネーシャ。

「凄いとはどういう…」

「おいおい。いきなり営業かよ。オトレーレー」

すかさず割って入るカルデナス。それに対し。

「失礼ねえ。なんであたしが今更、営業なんか…」

それを聞いて顔を緩めるガネーシャ。

「それもそうだな。ベニーシェ村のオトレーレーと言えば、我がオレアンダーにも聞こえた名工。頼む方が遜るべき存在であったな」

「恐れ入ります」

「それほどの者が、我が夫殿の知り合いだとは望外の好運だったが、そこでついでに見てもらいたい物がある」

それまで手に持っていた長槍をポンと投げる。それを受け取るオトレーレー。

「初陣以来、長らく愛用している物だが、先日の戦でかなり傷んでしまった。鍛え直せるか?」

鞘を払い、様々な角度から鋭い視線を投げる。そして。

「しばらく預からさせていただきますが。構いませんでしょうか?」

「ああ。これからはずっとここだからな。どうか心行くまでやってくれ」

「承知いたしました」

すると。ちょうど外でガサゴソとした音。

「なに?」

家の主と同時に、ガラッと開けられる戸。

「へーへー。大将ー。おー待ちー」

身体中にゴッソリと荷物を括り付けて入ってくるエミヤ。

「お。待ってたぞ」

「ご注文の、酒に肉に野菜と、あー重かったんよー」

ドサリと荷物を下ろし、膝を着く。

「ちょっとちょっと。何よ何よ。これは」

家の主人の当然の当惑。それに対し。

「決まってんだろ。無事帰還の祝いだ。どうせここには無いんだろ。だからわざわざ持ってきた」

「御館はどうすんのよ?」

「予定では帰るのは明日って事になってるからな。だからまずはここで前祝だ」

「噂に聞くベニーシェ村を心行くまで味わいたかったのでな。迷惑か?」

あくまでマイペースの新婚夫婦。それに溜息を付きながら。

「もう。どこまでも人の家で勝手に。まあ新しい奥方様に免じて許してやるわ」

「ほーい。決まり決まりー。じゃー準備の湯沸かし湯沸かしー」

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Re: ハーレムトライアングル  第六章 時代を決めた男 E ( No.1 )
日時: 2022/09/24 05:25
名前: 鬼末忠次
参照: http://blog.livedoor.jp/harem_series_suki/

やはりガネーシャが正妃になりましたか。これはこれで流れとして自然な感じがします。初期の構想から離れたということなんでしょうか。
Re: ハーレムトライアングル  第六章 時代を決めた男 E ( No.2 )
日時: 2022/09/24 09:19
名前:
参照: https://www.freebbs.biz/patio/patio.cgi?mode=view&no=131&user=hirukuru

オトレーレーは最初から村を離れらなくて、ロザンナやエミヤとは距離を置いた存在の予定でした。

最初明確に考えていたのはロザンナは家に属する近衛でエミヤは個人に属する親衛、そしてオトレーレーはあくまで互いの立場を離れた幼馴染という違いを描く事でした。

それを十一年前のゴットリープ攻防戦に(後のロシェみたいに)子供時代のカルデナスも行っていたという部分から、ガネーシャが新たに導き出されたって感じでしょうか。

『プロヴィデンス』のラストからして、ギャナックの最初の子供を産むのはガーネットしかないというのもあって、いっそそこにも繋げてしまえで。

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