ハーレムトライアングル 第五章 運命の五秒間 P |
- 日時: 2022/09/14 22:45
- 名前: 陣
- 「大将! 急がんと、ガネーシャさんが!!」
エミヤの悲鳴を待つまでもない。 死なばもろともとメロディア本陣に突入を掛けたオレアンダー軍だが、飛び出してきた新手のミラージュ勢に食い止められて思うように進めない。 後方では突破してきたカンタータ軍が態勢を立て直しつつあり、このままでは包囲殲滅されてしまう。
「くそ!」
「ダメです!! いけません!!」
飛び出そうとするカルデナス! それを正面から押さえるロザンナ!!
「どけ! ロザンナ!!」
「どきません!! カルシファー様の命あるまでは!!」
「いつ来るんだ!! それは!?」
「カルシファー様次第です!」
「馬鹿野郎! 下を見ろ! 奴ら! 俺たちを睨んでるぞ!! このままだと奴らのどちらかにやられる!!」
「…」
「くそったれ!! 後ろの親父に一体ここの何が分かる!? 日和見も寝返りもいいだろう! だが今じゃもう遅すぎるんだよ!!」
「それでも…やむをえません!!」
後ろ手にした掌の中に隠した魔法宝珠。 それを今にもカルデナスに抜き放とうとした時!
「魔法弾!?」
遠目の効く、エミヤの発した鋭い叫び!!
それを聞くや、すかさず身を翻して、空中に向かって手の中の物を投げ付けるロザンナ!!
「みんな!! 伏せてー!!」
その言葉に、反射的に地面に伏せる高台の一同!!
空中で閃光を放つ、魔法宝珠! 凄まじい轟音と共に、空中で誘爆し、炸裂し続ける魔法弾!
まさに大魔法級の大轟音と大閃光!! もしも着弾していたら、間違いなく高台全体を倒壊させ、そこにいた全員を埋没させていただろう。
実はこの瞬間、カルシファーの本営からロザンナに向けて、ある合図が送られていたという。 しかし大量の魔法弾の凄まじい空中誘爆のため、それは誰の目にも止まらず、歴史の中に埋もれる事になる。
せめてもう五秒早かったら。 その念も込めて。後世においてこの瞬間はこう呼ばれる事となる。
「運命の五秒間」と。
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