ハーレムトライアングル 第五章 運命の五秒間 O |
- 日時: 2022/09/12 20:19
- 名前: 陣
- 「ガネーシャ様! ベニーシェの奴らが動きません!!」
メロディア本軍を前に、カンタータ軍を相手に死力の押し問答をしている、オレアンダー軍!!
その眼下から見上げた高台に、未だ陣取り続ける一隊。
「くそ! 奴らやっぱり寝返ったか!?」
「高見の見物かよ!!」
「ああいう奴らなんだよ! 昔から!!」
怨嗟と怒号の飛び交う中、一瞬動きを止め、高台の方を見上げる雌獅子。
(…あの子が、この私をな…ずいぶんと大人になった物だ…しかし、しかしまだこの首はおまえには…やれん!!)
一瞬の感慨。しかし喧騒が彼女を現実に引き戻す。
「ガネーシャ様! ここはもうお引きを!」
「たわけ!!」
一瞬、静寂に包まれる周囲。
「それがどうした!? 連中など最初から当てにしておらんわ!! 泣き言を言うくらいなら!! あのガキのついでに、奴らもブチ殺すくらいの事を言ってみろー!!」
まさに獅子吼!!
返り血に汚れ染まった髪が思い切り逆立ち!! 輝きを放つ!!
ウオオオーッ!!
一瞬の静寂の後、爆発のように吹き上がる戦意の竜巻!!
「まとめて!! ぶち殺せー!!」
「陛下!! カンタータ軍が突破されました!! オレアンダー軍がそのまま向かってきます!!」
「馬鹿な! 奴ら、こっちと刺し違える気か!?」
「狂人の群れです!! まともに相手できません!!」
「アンナは!?」
「負傷されましたが、命に別状は!」
「陛下!! ここは危険です! 離脱されてください!!」
「黙れ! ここまで来て引けるか!!」
「私が食い止めます! 今の内に!!」
「イーディス!?」
進めとも引けとも言わず、飛び出した右腕。それを見送ると共に、見上げる高台。
そこには悠然とばかりに、敵の一隊が見下ろしている。
「おのれ、あいつら…この私を見下すか!! 魔法団長!」
「はは!」
「あの高台の無礼者どもに! 魔法弾を全弾ぶちこめ!!」
「はは!」
「お待ちください!」
突如として現れる忍び。身体のあちこちに手傷を負っている。
「ゲルダか!? 今までどこに!?」
「その段は平に! 高台への砲撃はお待ち下さい!!」
「何故だ!?」
「宰相閣下がカルシファーに渡りを付けています! 彼らは敵ではありません!!」
「シュナイゼルが!? 勝手な事を!! ええい、かまわん!! 今すぐぶちこめ!!」
「陛下!?」
「たわけ!! 周りをよく見ろ!! 味方ならばなぜ今まで加勢せん!! こちらが手傷を受けたと見れば、こっちに突っ込んでくるわ!! 動かぬならば、むしろ好都合だ!! 全力の先制攻撃で黙らせろー!!」
「陛下ー!!」
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