ハーレムトライアングル 第五章 運命の五秒間 F |
- 日時: 2022/07/26 22:52
- 名前: 陣
- 「あれがギャナックか」
バーミアから長躯してきた雲山朝軍の本陣。 モーレ一族を中核とする王朝近衛軍団を主力に、最強戦力のオレアンダー軍、更にギャナック王自身の親衛隊などがひしめいている。
それを離れた場所から鷹の目のように伺っている少女。山麓朝宰相直属の密偵ゲルダ。同時に最強の暗殺者でもある。
中央部の天幕の中から出てくる、いかにも青年といった感じの正装の男。側に控える妙齢の大柄の女は近衛軍団長も兼ねる第一寵姫リオレイアか。 かつては雲山朝側にも雇われていたが、当時はその中枢部まで拝める身ではなかった。
「フン。いかにも苦労知らずのお坊ちゃんだな」
それに対し弓に矢を番える。
「陛下に悪いけど。これも閣下の命令なのよね」
狙いを定めるとビュンと放つ。
突如、標的の目の前に飛び出した影が矢を打ち落とす。
「もう二度と『お父様』を…撃たせない!!」
それは少し前にゴットリープで一度見た少女。
「リデラート!? まさか!? するとあちらは王太子のギャルソンか!!」
急ぎ報告をと慌てて木から飛び降りると、その場に倒れ伏している部下たちの身体に気付く。
「これは!?」
「久しぶりねえ。ゲルダ」
「エリザベス!?」
目の前に現れるメイド姿の眼鏡の女性。ギャナック直属の親衛隊長。そしてヤザ村の最強伝説。
「甘いわねえ。あたしの姿が無いと見れば警戒しなくちゃ。だからあんたを陛下の親衛隊に推薦できなかったのよ」
「ほざけ! いい加減に引退しろ! ババア!!」
獲物を取り出し切り掛かるも、すかさずスカートの下から取り出したカギ爪で軽く受け止められる。
「したいんだけど。後輩が甘ちゃん過ぎるのよねえ」
「うるさいうるさい! うるさああい!」
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