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ハーレムトライアングル  第五章 運命の五秒間 C
日時: 2022/07/20 22:21
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「ギャナック陛下が?」

ラージングラードを巡る戦いは続く。
とにかく各方面を走り回っているシュナイゼルのあらゆる脅しやハッタリが功を奏してか、メロディア率いる山麓朝軍の参加も徐々に増え始め、現在は城下近くまで押し込んで来ている。はっきり言って形勢はかなりヤバイ。

そこに飛び込んできたバーミアからの援軍派遣の報。当然大いに盛り上がる城内。が。

「な、なにい! あの獅子姉様までが来るう!?」

「ガネーシャ異母姉様が! 素敵!」

「こらミラ! 何が素敵だ! 何が!」

「ガネーシャ様と言われますと。あのオレアンダー家の『鬣のある雌獅子』と呼ばれる…」

「そうだロザンナ。御父様の長子であり、西方の守護神とまで呼ばれる方だ。ほとんどバーミアにも顔を出さなかったから安心してたのに。まさかこっちに来るなんて…」

思い切り当惑する女城主。

そして別の部屋で。別の意味で当惑している兄弟二人。

「どう思う。そりゃ確かに援軍は多いに越した事はないがな」

「確かギャナック陛下がバーミアを出られるのは、入られて以来の初めてですか?」

「そのはずだ。十一年前のゴットリープ攻略戦でも総指揮を執ったのは当時のリーレ大将軍だった。だから今度でも指揮を執るのはモーゼ大将軍あたりかと思っていたが」

「確かモーゼ大将軍は病気がちだという噂も」

「だとしてもおまえのカミサンの義理御袋のリオレイア将軍が代理を務めれば済むはずだ。わざわざギャナック王自らの親征とは大袈裟すぎる。西部方面のオレアンダー軍まで動かすそうだしな。あとこれはエミヤからの情報だが。親父も動いたらしい」

「父さんが?」

「ああ。王の親征軍とは別の迂回路で来るらしいが…」

「何か?」

「おまえ。あの天下に悪名高いカルシファーだぞ。何か思惑無しに動くとでも思ってるのか。場合によっては…」

「僕らも捨て石に?」

「やらないような奴だと思うか?」

「思わないなあ」

地図を開いて位置を確認する二人。

「バーミアから大軍を率いて最短で来るならこのコースしかない。そして親父が回り込んで来るとなればここが布陣の場所だ」

「北東部だね。ここからなら双方が正面から戦った場合に側面が突ける」

「ああ。どっちに対してもな」

「すると兄さん。場合によっては父さんがギャナック陛下の方を攻撃するとでも」

「利益の方が大きいと見れば、小さい屈辱に拘るような親父かよ。しかも今は親父が一番疑われ難い時だ。それを狙ってこそ天下の大梟雄カルシファー様だろうが」

「でもギャナック陛下は」

「ああ。息子の俺たちより親父を理解してるのがあの御仁だ。そんな事はとっくに…ウップ!」

「兄さん。どうしたの?」

「何でもない。急に吐き気が…」

嘔吐感を堪え、心中で思い切り毒吐く。

(ったくイイ年しゃがって。何考えてんのか知らねえが。股を開いて男を誘う女みたいなマネすんじゃねえ!)

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Re: ハーレムトライアングル  第五章 運命の五秒間 C ( No.1 )
日時: 2022/08/07 12:18
名前: 鬼末忠次
参照: http://blog.livedoor.jp/harem_series_suki/

吐き気って(笑)。しかし親父を客観的に理解しているあたりはふたりにもさすがですね。
Re: ハーレムトライアングル  第五章 運命の五秒間 C ( No.2 )
日時: 2022/08/07 12:33
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まさに親を知るに子にしくはなしってとこですか。

ミラージュ兄弟の関係はこんな物でなかったのは確実でしょうが。

そう言えば実はガネーシャはカルデナスより六つ上で、ちょうどカルシファーとギャナックの間と同じなんですよね。
Re: ハーレムトライアングル  第五章 運命の五秒間 C ( No.3 )
日時: 2022/08/07 12:33
名前: 鬼末忠次
参照: http://blog.livedoor.jp/harem_series_suki/

ほほう!六歳年上というのは結構離れていますね。どうりでカルデナスが気圧される(?)わけです。
Re: ハーレムトライアングル  第五章 運命の五秒間 C ( No.4 )
日時: 2022/08/07 12:38
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まあ初体験相手のロザンナはもっと上ですから、それに較べれば目立たないかも。

あるいはゴットリープでの初陣で知らずにファーストキスを奪っていたなんてのも面白そうですが。

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