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ハーレムトライアングル  第四章 無数に書かれた三角形 E
日時: 2022/07/13 06:59
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「まあ。そんな顔するな二人とも。で。それに関して本題がある」

今までの茶化していた雰囲気が消え、鋭角なまでの表情が浮かぶ。

「おい。まさかまた縁組とか持ち出す気じゃないだろうな。親父。いくら何でも…」

「そうだ。普通の家なら重ねてこんな事は言わんだろうな。ただしここは普通の家でも家族でもあるまい?」

「ま。そうだな。時と場合によっちゃ親兄弟でも殺し合うって類の家だ」

その長男の一言に対し、冷ややかな肯定の笑みで返す父親。それを変えるかのような次男。

「アデライト?」

「流石だなカルデウス」

「ラージングラードだな」

「いいぞカルデナス。そう。先月バルザックでラージングラードの血を引く娘が亡くなった事で、山麓朝とラージングラードの直接の縁が切れた」

「知ってるよ。だからミラージュの孫をわざわざ養女にしてラージングラードに送り込もうとしたんだろ」

「そうだ。そして実は今そのラージングラードの中が揉めている。新女王の見識と…」

「山麓朝内部の混乱に対する不安ですね」

「そうだ。誰がどう考えても最善手のはずの、こちらとの縁組をわざわざ蹴った新女王の才覚と、それを許した山麓朝全体に対する不安だ。それらに対しては親山麓朝のはずの今の当主としても説明の仕様がないらしい」

「そりゃそうだろうよ。それ以外にあのアマが新王でなきゃならない理由はどこにも無いからな。そもそもそのための譲位だろうし」

「だから。同じくラージングラードの血を引くアデライトに然るべき婿を迎え、親雲山朝の新たな当主に立てようという動きが出始めてるらしい」

「で。その婿にまた俺たちのどちらかをって。冗談じゃない」

「兄さんは嫌なのかい?」

「ああ。アイツは親父と同じく俺も嫌ってるからな。いくら俺でも寝首を狙ってくるような相手は御免だ」

「じゃあ。僕がやる。僕が貰うよ」

「なに?」

「ほう」

「僕なら父さんや兄さんみたいには嫌われてないからね。そもそも意識されてもないだろうし」

「本気か。カルディ?」

「ふふ。前と違って、今度の相手はもうこっちの物だろ。逃げられる事は絶対ないし。それに僕を振ってくれたゴットリープの女王様を思い切り脅かしてやるってのも面白い」

「やってくれるか。カルデウス」

「うん。でも一つだけ条件がある」

「なんだ」

「ロザンナも付けて欲しい」

「なに!?」

「だって。今の彼女はロザンナが付いてなきゃダメなんだろ。なら彼女もいなきゃ意味が無いじゃない」

じっと弟の顔を覗き込む長男。

「おまえ。もしかしてむしろロザンナこそが目当てなんじゃないのか?」

「それが? それにエミヤと違って彼女は兄さん個人の物じゃない。強いて言えばこの家の。父さんの物なんだろ。それに兄さんの一番の本命はオトレーレーじゃないか。それともやはりアデルと一緒に兄さんが貰うの。そもそも兄さんがそうしたんじゃないか」

罰の悪そうに頭を掻くカルデナス。

「いやまあ。確かにそうしたのは俺だが。そもそもロザンナにアレを仕込んだのは親父だろ?」

「だな。ま。俺としてはロザンナが了解するなら構わんぞ。ラージングラードでもバーミアでも。どこへでも連れて行け」

「ありがとう」

「ふふふ。そうと決まればさっそく支度に取り掛かるか。これがアイツの最初からの目論見かどうかは知らんが。最高の料理に煮て焼いてやろうじゃないか」

「おいおい」

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Re: ハーレムトライアングル  第四章 無数に書かれた三角形 E ( No.1 )
日時: 2022/07/13 06:13
名前: ハーレムシリーズ好き
参照: http://blog.livedoor.jp/harem_series_suki/

これまた意外な展開。そうか、四人目のヒロインではなかったってことでしょうか。ロザンナの立ち位置も気になります。カルディの深謀遠慮がどうなっているのか、それも気になりますね。
Re: ハーレムトライアングル  第四章 無数に書かれた三角形 E ( No.2 )
日時: 2022/08/12 23:02
名前:

こうしたロザンナの立ち位置のモデルはタニキスですね。いわばカルデナスがネメシスで、カルデウスがウェルキンかって。

またアデライトについては、最初の夜に手を付けてればって感じですね。

なんか次はカルディ主役のスピンオフでも出来そうです。

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