ハーレムトライアングル 第二章 門外不出の王 F |
- 日時: 2022/07/03 00:49
- 名前: 陣
- 「いらっしゃっておられます」
バーミア最後の晩餐はあちらで済ませると聞いていたので、夕飯はバーミアの歓楽街でエミヤと二人で済ませてから迎賓館に帰ったカルデナス。 それを正門で迎えるロザンナ。どうやらもう来ているらしい。
「遅かったな」
あてがわれた部屋に挨拶に行くと、中から響いてくる不機嫌な声。
「まあ…」
な、と続けようとして、思わず言葉を呑む。 床に乱暴に脱ぎ散らかされているドレスに下着。そして傍らのベッドの上には、一糸まとわず大の字に投げ出されている裸身。 アデライトの名のごとく、いかにも鍛えられていて引き締まり輝いている彫刻ボディ。しかし顔の方には痣めいた腫れが未だに残る。どうやら魔法治療を拒否して敢えて残している感じ。 顔はともかく、まるで恥じらいの無いような身体には、感嘆する対象ではあっても肉欲をそそるかのような物は感じられない。
(…マグロ…?)
海に面したミュラー王国からの由来らしい単語が頭を横切る。まあこれほどまでに台無しという言葉が似合う場面もそうはあるまい。 取り敢えず声を掛けてみる。
「おいおい。一体どうしたんだよ。そのザマは」
その言い草にカチンとなったか、顔を横に向けて吐き捨てる。
「どうした? どうせこれが望みなんだろう! さあさっさとやれ!」
今度浮かぶはヤケクソの文字。そして湧き上がるはゲンナリの気持。
「おいおい。早まるな。陛下の言葉を聞いただろ。お前を預けた先は俺の家だ。俺個人じゃないぞ。まあ俺個人だったなら頂いても悪くないがな」
「ならどうする気だ!?」
「まあ取り敢えずはベニーシェの家に連れ帰って、どうするか親父たちと相談だなあ。親父の女にするか。弟のメイドにするか。あるいはウチの連中の共同備品にしてやるか」
「なんだ! それは! 馬鹿にしてるのか」
「おいおい。煮るなり焼くなりってそういう事だぜ。あるいはお前が昨日言ったように。お前の首を跳ねて、陛下に送り返してやっても別に構わないってわけだ」
内容はふざけてるが、口調は真剣のカルデナス。それに対してギッと奥歯を噛み締めるアデライト。
「で。どうする気だ。今の私を」
「取り敢えずは着る物を着て、大人しく休んでくれないかなあ。明日は早いんだし」
「ほう。怖気づいたか。そんなに家の連中が怖いのか」
「おいおい。もしかしてここで俺に手を出させて、俺の家に不和を起こさせようったって無駄だぜ。親父は全対応の百戦錬磨で、弟は筋金入りの堅物だ。半端な俺をどうにも出来ない、お前に一体何が出来る?」
いかにも悔しそうな表情。それに対し。
「しかしまあ。それがお前の恥かかせになるってんなら。おおい。ロザンナ。エミヤ」
今まで入り口付近で待機していた二人が歩み寄る。
「何か」
「はいな」
「この実に御荷物な御客人に相応しいもてなしだ。くれぐれもアソコだけは傷付けるなよ」
「は」
「はいはーい」
スルスルと服を脱ぎ始める二人。それを見て、いまさらに慌て、いきなり身を縮こまらすアデライト。
「な、何をするつもりだ! おまえら!?」
その驚愕を嘲笑うように、冷酷な台詞が返る。
「こいつらも俺の家の者だからな。当然にお前さんを煮て焼く権利がある」
「そ、そんな」
「安心しろ。こいつらは俺以上の完全なプロだ。多少は荒いが、俺と違って、自慢の肌を傷付ける事だけは絶対ないぜ」
その動転した目の前に、佇立する二人の裸身。
「それでは。精一杯におもてなしさせていただきます」
「くしし。カクゴするんよー」
その目にようやく宿る恐怖!
「ま、待て。そんな、私は。やめろ! ああ! いやああああー!!」
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